「質」の高い練習って?
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石崎 一平 |
トラック&フィールドシーズンも終了し、いよいよ長い冬が、そして冬期練習の時期がやってきます。 シーズン中「質」を意識してきたトレーニングを、「量」を追求する方向に変えていこうという人も多いのではないでしょうか。 私にも同様の傾向はあります。300mを走るというメニューを例にとってみると、 (シーズン中) 300m×2本 タイム設定:ほぼMAX(37"0前後) レスト:20分 (冬期練習中) 300m×5本 タイム設定:45" レスト:300mウォーク(6分程度) こんなメニューを立てることが多いです。 この例について、設定タイムの速い遅いをトレーニングの「質」と考えるなら、言うまでもなくシーズン中の方が質が高いと言えます。 それに対して一般的にトレーニングの「量」と考えられるのは走行距離です。上記の例ではシーズン中=600mに対して冬期練習=1500m。当然、冬期練習の方が量を重視していることになります。 走るメニューを例に挙げればこのようになりますが、ウェイトトレーニングで言うならば挙上しようとする重量が「質」ということになるでしょうし、ハードルジャンプならばハードルの高さがこれに当たるでしょう。言葉を変えれば「質」というのは負荷の強さ=「強度」とも言えると思います。 シーズン中は「質>量」、冬期練習では「量>質」という考え方で練習を組み立てていくというのは割と一般的だと思っているのですが、いかがでしょうか? ところで、「『質』の高いトレーニングとは?」と考えたとき、前述の「強度」とは別の、もうひとつのモノサシを考慮するべきではないか、と最近思っています。それは「いかに『考えて』練習をするか」ということです。 陸上初心者は決められた練習メニューをこなしているだけでも飛躍的に記録が伸びていくというケースがままあります(まず、「量」・「強度」ともにある程度のメニューをしっかりこなせるようになるまでが第一の壁だとは思いますが)。この理由は大ざっぱに言えば、単にその人の体が陸上向きになっていく、という点に集約されるのではないかと考えます。 しかしこの後が問題で、大多数の選手にはいわゆる「伸び悩む」時期がやってきます。この第二の壁を打ち破るために不可欠なのが、自分で自分の動きを意識し、より良いものに変えていくという点ではないでしょうか。そしてそれを実践するためには、ただ単に練習量や設定タイムをこなすだけではなく「考えながら」練習することが必要になってきます。 このようなこともトレーニングの「質」の中に含まれてくるのではないか、というより、むしろこちらのほうがより直接的に「質」を意味するのではないか、というのが私の思うところです。 ここまでトレーニングにおける「量」「強度」そして新たな「質」という3つのモノサシを提示してきました。我々beingの強みは3つめの「質」においてハイレベルなトレーニングができるところではないかと思っています。 陸上競技のトレーニングでは、チームメイトと競り合うことによって「量」や「強度」を高めるということがよく行われます。独りで自分を追い込むというのはなかなかしんどいものです。しかし「質」に関しては、ただ周りに人がいる、というだけでは高めることができません。動きの良し悪しを見極め、より良い技術を追求していこうとする意識の高さや、それを可能にする知識・観察眼を持った人材が必要です。 その点、beingにはさまざまな競技歴を持つメンバーがそろっていることで、トレーニングの「質」を高めるための引き出しが豊富にあります。加えて、メンバー間でお互いの技術を高めあっていこうという意識も非常に高いです。そのことが、入会後に自己ベストを更新する会員の多さにもつながっているのは間違いないでしょう。 今シーズンも多くの好記録が生まれました。「質」の高い練習ができる、というbeingの恵まれた環境を生かして、来季もそれぞれの種目でジャンプアップを目指していきましょう! そのためにはこの冬期練習でどれだけ「考えて」トレーニングできるかというのも非常に重要なカギになると思います。自分の動き・技術をデザインしていくおもしろさを味わいながら強くなっていければ最高ですね! |
いしざき いっぺい@管理人 |
(2007/12/10 update)