「三兎」を追って
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石崎 一平 |
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７月４日（金）から６日（日）まで、今年も各種目の県王者を決める茨城県選手権が開催されました。試合の数日前には雨の予報も出ていましたが、当日になってみれば例年通り３日とも晴天。梅雨時真っ最中の開催ながら、雨雲の方から避けて通る天気は今年も健在でした。 さてこの試合、私にとっては昨年のリベンジを果たすための試合でありました。というのも、昨年は「十種競技・走り幅跳び・マイルリレー３種目出場」を目標に掲げながら競技中に負傷してしまい、十種をやり切ることが精一杯で、最優先種目だったはずのマイルを走ることができなかったからです。 「二兎を追う者は一兎をも得ず」とはよく言われますが、昨年の私は「三兎を追って一兎を逃す」状態でした。 しかし懲りずに今年も冒険にチャレンジ！ マイルリレーと十種競技、そして走り幅跳びに代えて三段跳びにエントリー。昨年同様「三兎」を追いかけることにしました。なんでそんなことするのか？と聞かれたら…単純に自己満足のためです。「あんたバカだねぇ」と言われたかっただけです（笑）。今年のコンセプトは「いかに余力を残して十種をやり切るか！」こうして物好きな混成選手の物好きな挑戦が今年も幕を開けました。 フタを開けてみると、肩の力を抜いた競技進行が意外にイイ感じ。走り幅跳びでの７ｍ０２（２年ぶりの７ｍ台！）を筆頭に各種目まずまずの記録をそろえ、出力１００％で臨んだ時とそれほど変わらない得点経過に、１日目は「行けるんじゃないの？」と内心ほくそ笑んでいました。 しかしそう甘く行かないのがスポーツの世界。省エネ省エネで進めてきたはずが、８種目めの棒高跳びあたりに来るとかなりの疲労感が体にのしかかってきました。それもそのはず、晴れるのは歓迎とはいえ初日・２日目とも気温は余裕で３０度オーバー。いくら手加減して臨んでいるつもりでも、目に見えない疲労は蓄積されて当然です。 ９種目めのやり投げもやや力なく終え、いよいよメインイベントのマイル予選の時間に。しかし招集所では脚のあっちがつり、こっちもつり……。１日目の余裕はどこへやら、メンバーには「大丈夫、まだ時間ありますから」とか言って笑いながら（ほんとに走れんのか？）とドキドキでした。 走っている最中につってしまう訳にはいかないので、とにかく水分・塩分補給。水っ腹になるのを覚悟で、飲んべえのようにチビチビとポカリをすすりながらスタートを待ちます。 果たしてそれが効いたのか、なんとか無事に完走！ 予選通過という壁は今年も破れませんでしたが、チームベストまであと０．７秒、自分個人のラップタイムも５１”４、さらに自分の母校を抜き去るというおまけつき。十種と並行したにしては納得のいく結果でした。 悲劇はその１０分後に訪れました。十種の最終種目１５００ｍ、スタート１歩目で右ふくらはぎが「バキーン！！！」とケイレン。まるで体が「もう限界じゃボケ！！」と言わんばかり。いつもなら得意種目なのに、みるみるうちに集団の最後尾を独走態勢に入ってしまいました。止まってしまっても良かったんですが、「もうちょい走ってみようか？」と思いながらヒョコヒョコ走っているうちに状況はやや緩和。しかし「お、行けるか？」と思ってスピードを上げようとするとまたつりそうな気配１２０％なので、結局終始ゆったりしたペースで走ることに。流通経済大のみなさんからの「石��さん！うまい酒が待ってますよ！！」という温かい声援にも背中を押されてなんとか５’５８”４０で完走。みごとにワースト記録でした。それでも走り切って点数がついたおかげでトータルは６０３１点。６０００点を割らなかったことにこちらも大満足です！  マイル出走後、１５００ｍのスタート地点へ向かう筆者（奥） 日付は変わって３日目・日曜日。前日激しくつった右ふくらはぎは歩いても痛むほどでしたが、なぜか「走った方が痛くない」ということで三段跳びも強行出場！ １本目で首尾良くベスト８入り確実となる１３ｍ台を出し、あとは６本目までパス。そして得意の「手拍子パワー」で６本目は１３ｍ８０。悪くない記録でうまいこと４位入賞できました。 しかしその代償は大きく、月曜には問題の右ふくらはぎがパンパンに。ふくらはぎって普段は力を入れなければブルブル振ることができますよね？ それが張ってしまって全く振ることもできないんです！ おそらく筋肉の深いところでかなり炎症を起こしていたのではないでしょうか。おっちゃんチームのみなさんには「筋肉痛が２日後に起こる」という経験をしたことのある方も多いと思いますが、今回の自分も、三段跳びが十種の翌日だったからこそ逆に出場できたのかもしれません。 こんな物好きは他にいないだろうと思ってましたが……いましたいました「三兎を追う者」が。それは誰かというと、水戸商業高の赤嶺選手！ 自分と同じようにマイルと十種を並行してやり抜き、しかも翌日走り高跳びにも出場していました。さらに彼は、私がヒィヒィ言いながらようやく完走したマイル直後の１５００ｍを４分４７秒台というタイムで駆け抜けています。結論「若いって素晴らしい！！」 こうなっては……来年は４００ｍハードルにもエントリーして「四兎」を追いかけるっきゃないですね！ |
いしざき いっぺい |
(2008/7/27 update)